農林水産省環境保全型農業対策室 室長 福田英明様 平成19年5月19日
全国有機農業団体協議会 代表 金子美登
有機農業推進施策についての要望
有機農業推進の施策構築につきまして種々ご尽力下さいましてまことにありがとうございます。深く感謝しております。
さて、有機農業推進施策のあり方につきましては、当会はこれまで折に触れて提言をさせていただいてまいりました。それらを踏まえて、この度、「国の有機農業推進施策について特に何を期待ずるか」について全国の有機農業者や有機農業推進団体の要望、意見を集約しましたところ、以下の5点がまとまりました。そこでこれらについて国の施策に盛り込んで頂きたく改めて要望いたします。
記
1.有機農業新規参入就農者への資金援助(融資の返済免除)
新規参入就農希望者への無利子資金の融資制度はすでに実施されているところで、これについては有機農業へめ新規参入希望者においても有効な支援となってまいりました。しかし、有機農業経営の安定化のためには10年程度の期間を要するのが通例であり、借入れた支援資金の返済は新規就農者にとってたいへん重い負担となっているのが現実です。そこで、本人の営農努力によって定着できた新規参入の有機農業者につきまレしては、推進法の趣旨にそって、借入れ資金の返済免除の措置をとっていただけないでしょうか。もし、この措置が実現すれば有機農業への新規参入希望者にとって大きな励ましになることは明らかです。また、熟年層の就農希望者め増加を考慮してこの措置の対象となる年齢範囲を広げて頂ければと思います。
2.有機・農業研修受け入れ農家等への財政的援助
有機農業においては農家等での就農研修が新規参入希望者にとって必須の課程となっています。しかし、研修、特に長期の研修を受け入れることは農家等にどって大きな負担となっています。このことがまた、研修受け入れ農家等が広がらない原因となり、それが新規参入者増加の制約要因ともなっております。研修受け入れ農家への支援につきましては地方自治体においてはすでに措置されている例があり、これはおおむね好評ではあります。しかし、自治体における施策においては、研修後は当該自治体での就農が条件となる場合が多く、この点も大きな制約条件となっております。 したがいまして、この件についてはぜひ、国の施策として措置していただきたいと存じます。
3.有機農業技術実証圃等の設置
有機農業技術の開発・普及のためには有機農業農家における実証圃の設置や、有機農業農家と試験研究機関との現地共同開発事業の有効性は高いと思われます。このことは、併せて地域における有機農業理解を広げ、有機農業への転換や新規参入者の増加にも役立つものと思われます。そこで、国におかれましても有機農業農家での実証圃の設置や、有機具業者との現地共同開発事業を促進する措置を講じて頂きたいと存じます。
また、有機農業技術開発については、民間における技術開発が果たしてきた役割が大きかったわけですが、民間の技術開発セクターはいずれも資金的も人材的にも余裕がなく、そのことが技術開発のいっそうの推進の妨げとなっております。したがいまして民間の技術開発への支援策も講じて頂きたいと存じます。
4.国や自治体の農業試験研究機関における有機農業圃場の設置
国や自治体の試験研究機関、あるいは大学等での有機農業技術開発の推進も強く望まれております。しかし、現状では、これらの機関においては有機農業圃場が設置されている例はわずかしかございません。有機農業圃場が設置され、それが長期的視野から安定して運営されることは、これらの機関での有機農業技術開発の必須の大前提となっています。有機農業圃場のないところで有機農業技術開発の推進はあり得ません。そこでこれらの機関において有機農業圃場が安定した形で設置されてるような施策をお願いしたいと存じます。また、それらの圃場での有機農業の実践につきましては、推進法、基本方針の趣旨にそって地元の有機農業農家の協力を得て進められることが望ましいと思われます。この点についても施策もお順いしたいと存じますレ 、 、
5.有機農業直接支払いについての検討会の設置
有機農業推進においてもっとも効果的な措置が直接支払制度の導入にあることは諸外国の例から見ても明らかです。しかし、有機農業の推進に資する直接支払い制度の構築のためには事前に十分な検討が必要なことも明らかです。そこで直接支払制度の導入に関して学識者等も交えた検討会が設置され、この件について有機農業推進への実効効果とともに施策の公共性についても十分に検討された政策提言がまとめられることが必要かと存じます。そこで、有機農業関連の直接支払制度導入のための検討会の設置を要望いたします。